ロシアンフレンド

前にも書きましたがカナダは移民の国でした。
特にトロントは顕著で、僕は2世、ギリギリちっちゃい子で3世を見ただけで、国とは何かを改めて考えさせられました。

そこで出会った大好きな友達の話をします。

「彼」はロシアから来た超マッチョの男性で、当時の僕よりも英語ができませんでした。
マッチョ度は振り切れまくってます。
何といえばよいのか、達磨です!戦車です!
ハグをしたら、僕はペキョペキョにされちゃいそうです。
でも照れ屋で引っ込み思案のステキな青年でした。

出会いは衝撃的でした。

僕が通っている語学学校のクラスが一つ同じでしたが、ほとんど話したことはありませんでした。
しかし、2か月くらいたったある日、ちょっとしたことが起こります。

何の話からだったか、その日の話は何故かステロイドの話になりました。
先生は「ステロイドは最悪だ」みたいな話をしてみんなと討論をしてました。
その日はめずらしく「彼」が発言をしました。
「ステロイド ドント バッド」
どうやら、ステロイドは悪くないという意見を言いたいようです。
先生は驚いて質問します。
でも「彼」が話そうとするけど、上記のように英語があまりできず、要領を得ません。
先生はあの手この手を使って、「彼」が何を言いたいのかを引き出そうとするのですが、無理でした。
そして、「彼」は困ってしまい絞り出した言葉は
「ヒロシ アンダスタンド ミー、メイビー」

えーーーー!
どういうこと?あたし、ステロイド使ってそうなの?他にも日本人いるし、日本を勘違いしてるわけでもないだろうし、突然過ぎて訳が分かりません。

クラス中が驚いて「Why Hiroshi?」と先生は連呼。
僕も聞かれますが、分かりませんと言うしかなく、「彼」も説明できません。
「彼」がステロイドを他のものと勘違いしてるのか、医学的で限定的な使用の話をしたかったのかなど分かりませんが、結局「もし筋肉増強に使ってるなら絶対にやめなさい」となり、話は終わりました。
そのあと「彼」に話しかけましたが、結局真相は分かりませんでした。

しかし、そのことにより「彼」とは話すようになり、何故か「彼」は僕に絶大な信頼と好意を持ってくれてることが分かり仲良くなりました。

僕は最初の3か月はホームステイをしており、そのルームメイトの別のロシア人とスペイン人と仲良くなっていました。
その3人で飲もうとなったので、ちょうどロシア人同士だし「彼」も誘おうと話をしました。
そうして、「彼」の家で飲むことになったのですが、「彼」の家は超高層マンションの上のほうで景色はすごいし、部屋がいくつもあるし、かなり家賃が高そうでした。
みんなが、なんでこんな良いとこに住んでんだ?と聞いてもよく分かりません。
ロシア人のルームメイトもロシア語で聞くけど真相は謎でした。

ただやっぱりすごかったのは、その飲みっぷり。
ウォッカをショットで「くいっ」。
飲んでは缶詰のフルーツをばくっ、飲んではの繰り返しです。
しかもショットグラスでなく、マグカップですよ!
僕も経験だと思い、2杯やってやめたのですが、5分後小をしにトイレに行こうと思ったら、いつの間にか吐いておりました。
自分で気づかずに吐いたのは後にも先にもこれが初めてです。

後は僕を看病してくれ、帰路につきましたがずっとロシア人のルームメイトが僕の肩を支えて歩いてくれ、それがうれしくて号泣しながら(本当にワンワン声を出して)帰りました。

さて、謎な「彼」。またある日突然、僕に電話がありました。
どうやらスポーツのコンテストがあるから見に来ないかと。
車で近くまで迎えに来てくれました。
運転してるのは、「彼」のジムのトレーナーらしいのですが、見た目は特殊部隊の方です。
締まった体で目が鋭すぎます。
もちろん「彼」はすっごい良いやつだとは思っていますが、さすがに筋肉達磨と特殊部隊員の車に連れ込まれ、知らない言葉が飛び交うと不安を感じました。

しかし現場に着くとそこは体育館。
バーベル挙げの会場で、「彼」が出場します。
僕は初めてバーベル挙げを見ましたが、感動しました。
いつもやさしい顔をしている「彼」が、真剣に自分のギリギリと勝負してました。
トレーナーも真剣にアドバイスを送り、一緒に戦っておりました。
持ち上げようとする一瞬に今までのすべてが凝縮されており、本当に素晴らしいものを見せてもらいました。

結局、僕らの英語力では意思疎通があまりできませんでしたが、特殊な仕事をしていた関係もあり、自暴自棄になり自分のエイズの血をいれたコップを片手に持った人を説得した話、ロシアではジムが異性との出会いの場になっている話など、ロシア人のルームメイトの通訳も交え聞いたり、本当にいろいろな貴重な経験をさせてくれ、つらいカナダ時代の支えになってくれました。
言葉の壁があり、友達がいなかった「彼」がなぜ「ヒロシ アンダスタンド ミー、メイビー」と言ってくれたのか未だに謎ですが、何故かとってもうれしかった思い出の一つです。

当時はFacebookなどもしていなかったので、もう会えることはないでしょうが、ムキムキな巨人が言いたいことが言えず困ったときの表情はやさしさにもあふれ、今でもよく思い出されます。

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ロシアンフレンド」への1件のフィードバック

  1. ロシアの屈強なお友だちは、現在バレバレになったスポーツ界のステロイド問題を把握していたのかしら。シビアな話ですが、私は2008年に最悪な体調で東大病院に運ばれ、数日間で1000㎎のステロイド剤を投与され生還しました。後遺症としてムーンフェイスはもとより、欝状態になり1年半後には左足の大腿骨頭壊死で人工股関節置換手術、翌年に右足も人工股関節になりました。その結果障害者3級を取得。10年前に難病患者として東大病院に登録されていたのですが、地方財政が貧窮になり月額5000円の手当金が3年前に削減されてしまい、代わりになんともタイミングよく(?)支給されたのが障害者手帳です。事あるごとに黄門様よろしく、「この手帳が目に入らぬか」と利用しております‼ロシアのお友だちはステロイド剤で屈強な体になったのかしら(笑)今何処…

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